失恋焼肉

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カップルとは交渉を続ける相手であること

今回お話をうかがったのは、神奈川県に住む36歳のYさん。

大学生のときに交際し、結婚間近だった彼と別れたいきさつを話していただきました。

──今日はよろしくお願いします。婚約破棄なさった時の話ですね。

22歳のとき、婚約していた彼と別れました。大学に入ってからずっと付き合っていた人で、そのとき交際4年目でした。大学を卒業したらすぐに結婚するつもりだったのですが、私から交際を解消しました。

──理由は?

理由ですか?
なんとなく疲れてしまったんです。

張りつめていた意図が切れた瞬間、別れにつながった

その彼氏とは、とても仲が良かったです。喧嘩することもほとんどなくて。
でも、喧嘩しなかったのが良くなかったんだなと今にすれば思います。

──喧嘩しなかったのに、どうして別れることになったんですか?

喧嘩って、お互いの意見をぶつけ合うことじゃないですか。本来喧嘩すべきところを、いつも私が引いてしまっていた。本当は彼も引いて、我慢していたところはあったかもしれませんが、どこで我慢していたかは私はわからないので。いつも自分が我慢している気持ちになっていました。

喧嘩らしい喧嘩をせずに、思うところがあってもグッと飲み込んでこらえていた。そうしているうちに、二人の関係性が見えない不満で張り詰めていたんでしょうね。ある瞬間にプツンと切れて、もう嫌になってしまった。平たく言うと、ガス抜きをしなかったから爆発したんです。

──どんなことをすれば、ガス抜きになったと思いますか?

もっとお互いの嫌なところを伝え合えればよかったなと思います。

──嫌なところ?好きなところではなくてですか?

はい。嫌なところです(笑)

「あなたのここがダメ」「私はあなたに合わせようとして、こんなに頑張ってるのに気づいてくれないじゃない」……そういうことを、お互いに伝え合うべきでした。

ダメなところを伝え合ったうえで、「じゃあ、二人で一緒に暮らしていくためにはどうやって改善しようか?」を共同で考えていくべきだったんだと思います。

人間、どこかしらみんなダメですからね。
ダメな部分を許容しあうために話し合って、努力を重ねて生活をともにしていかなきゃいけないんだと、当時は気づいていませんでした。

当時は私が相手の強引なところとか、嫌だなと思うところを我慢していればいいと思ったんです。

でもそうじゃなかった。さっきも言いましたけど、きっと彼も私のダメなところがたくさんあったでしょうしね。

──彼に、自分のダメなところを教えてほしかったんですか?

私のダメなところを教えてくれたら、私ばかりが我慢してるんじゃないって分かったはずですから。彼の言葉で、「私のためにこんなに頑張ってる」と教えてほしかった。

お互いの頑張りがお互いに見えるようになったら、どうやって擦り合わせていけば幸せになれるか、検討できたはずですから。

それを、私は一方的に「自分が我慢している」と思っていましたし、相手にも「あなたのここがダメ」とは言いませんでした。

交際を続けるとは、交渉を続けること

──どうして言わなかったんですか?

言っても無駄、没交渉だな〜と感じていたんです。一度だけ喧嘩したことがあったんですけど、その時に言いくるめられてしまって。「あ、丸め込まれたな」と思いました。

それから、「まっすぐに心を開いて衝突しようと思っても、たぶんこの人とは上手に交渉できないんだろう」という諦めが生まれました。
話しても考えを擦り合わせることができないなら、最初から話さないほうがマシです。

──話さないほうがマシと思って、一人で不満や悩みを抱え込んでいた、と。

彼からすれば、「なんで一人で抱え込んでたの!」と怒りたかったかもしれないですけどね。
でも、交渉ができない相手に相談はできません。
交渉しようとしても私の意見を丸め込んで、なかったことにするなら、私の悩みもなかったことになります。

カップルとして、もしくは夫婦として生活を続けるって、相手との交渉の連続じゃないですか。
お正月やお盆はどこでどうやって過ごしたい?とか、どこに住んでどうやって暮らしたい?とか……一人の意見では決められなくて、カップル・夫婦のお互いの本当の気持ちを話し合わないといけない。

意見を言っても「自分の信じる正解」以外の意見を丸め込もうとする相手とは、交渉を続けられないし、カップルや夫婦として暮らしていくことは難しいと感じました。

──あ、すみません。ちょっとスマホにLINEが。……見てください、私の仲のいい男友達なんですけど。価値観が食い違っていて……Yさんだったらこういうとき、どうしますか?

インタビュアーさんの状況がどんな感じか、教えてください。

──私、男友達の実家(米農家)からお米を買わせてもらったんです。で、美味しかったからお米のお礼を言いたいので、手紙を送っていいか尋ねたんですよね。でも男友達は、「そんなの別にいらない。普通の売買にわざわざお礼言わないでしょ」って譲らないんです。

ええと、つまり。インタビュアーさんは「良い買い物をしたらお礼を言いたい」という価値観を持っている。お友達は、「もうお金を払っているのだから、お礼は不要」という価値観なんですね。

うーん。私ならお礼言いますけど。だって、お礼を言われて嫌な気持ちになる人はいないですからね。

……まあ、それで、インタビュアーさんとお友達は若干仲がこじれているわけですか。

──男友達は、自分の価値観が正しいと信じ込んでいますからね。私も気が強いので、自分の価値観が正しいと思ってますけど(笑)

その価値観の違いをぶつけあって、擦り合わせて、その上で関係を続けようと思えるなら素敵ですよね。私と元婚約者の彼は、価値観をぶつけ合うことができなかった。当然擦り合わせもできないし。

カップルや夫婦って、「何度ぶつかっても妥協点を探していけるし、また次にぶつかっても妥協点を探せるだろうと信じられる関係」なんだと思います。

今、私は別の人と結婚してますが、しょっちゅう喧嘩してますよ(笑)
でも意見の擦り合わせもちゃんとできるし、次に意見の違う場面にぶつかっても大丈夫だと信じられます。

……それで、インタビュアーさんはお友達と擦り合わせできそうですか?

──うーん……妥協点を探してみます。友達同士はカップルよりももう少し気楽かと思うので。

そうですね、友達同士よりも、カップル・夫婦のほうが重大な価値観の部分で衝突があるような気がします。

って、あれ?
今日のインタビュー、私の失恋話を聞くんじゃなかったんでしたっけ。

──すみません(笑)。でも、繋がっている話ができてよかったです。ありがとうございました。

こちらこそ。
ありがとうございました!

取材したお店

焼肉 醍醐後楽園店
東京都文京区小石川1-1-18 文京ガーデン ザ サウス 1F

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